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『Tシャツが乾くまで』第7話感想|充の失踪癖と「嫌われてもいい人」

夏ドラマ

『Tシャツが乾くまで』第7話「第三金曜日の出会い」では、充が咲子に、自分がなぜ失踪を繰り返してきたのか、あずさと第3金曜日に何をしていたのかを話しました。

あり得る話だと思う。

今回のメインは、充の告白です。幸せなのに逃げたくなる。一緒にいたいのに、ずっと一緒だと思うと息が詰まる。

充の、自分ではどうしようにもない気持ちが分かる。松山ケンイチさんの演技から伝わってきました。

自分の気持ちを言葉で表現した充

夜の部屋で自分の気持ちを言葉にする男性と話を聞く女性

前回の咲子を見たときも思ったのですが、『Tシャツが乾くまで』は、自分でも整理しにくい気持ちを言葉で表現するところが素晴らしいと思います。

第6話では、咲子が自分の気持ちを確かめるように話していました。第7話では充が、自分がなぜいなくなってしまうのかを、一つずつ言葉にします。

充を許せるかどうかとは別に、自分のどうしようにもない気持ちが分かる。伝わってくる。

説明のための長いせりふというより、充自身が初めて自分の中を見せているようでした。松山ケンイチさんの演技としても、素晴らしいと思います。

充が告白した「失踪癖」とは

夜明け前の駅へ一人で向かう男性の後ろ姿

「失踪癖」は、突然連絡を断ったり、その場から姿を消したりすることを繰り返す人に使われる日常的な言い方で、正式な病名ではありません。背景には、強いストレスから離れたい気持ち、今の人間関係をいったん切りたい気持ち、衝動など、いろいろな可能性があり、一つの理由だけでは説明できません。

医療には、記憶の抜け落ちを伴って生活の場から離れる「解離性遁走」という状態もあります。ただし、姿を消す行動がすべて同じものとは限りません。充は記憶を失っていたのではなく、自分の意思でその場を離れ、仕事や人間関係をリセットしていました。この記事では病名ではなく、充が繰り返してきた行動として「失踪癖」を考えます。

充は、親から愛されていないと感じながら育ちました。食事や風呂、洗濯には困らず、殴られることもない。ただ、愛されていないと感じていた。

8歳のとき、初めて遠くへ逃げました。トラックの荷台に乗って県をまたぎ、迷子として保護されています。

その後も、小学4年生の遠足、小学6年生の臨海学校、中学2年生の部活の遠征、高校2年生のデート、大学1年生の夏休み明けと、数年おきにその場からいなくなりました。

大人になってからは、失踪するたびに転職し、人間関係もリセットしていたそうです。咲子と出会った頃、海外出張だと説明して約3か月連絡を絶ったことも、本当は失踪でした。

でも、その失踪中に初めて、咲子に会いたいと思った。そこから約10年間、充は同じ場所にとどまることができました。

それなのに、二人で暮らす一軒家へ入った瞬間、「ここに一生二人きり」「もう逃げられない」と感じてしまいます。咲子が嫌いだからではなく、幸せなのに息が詰まった。

充は、いつか嫌われるなら、その前に自分からいなくなろうとしていたのだと思います。

理解しにくい気持ちかもしれません。でも、充が自分の言葉で告白したことで、自分でもどうしようもなかった気持ちが伝わってきました。

ただし、充の事情を理解することと、黙って一年間いなくなったことは別です。咲子が傷ついた事実まで消えるわけではありません。

他人だからこそ話せた、あずさとの信頼関係

コインランドリーで距離を置いて話す二人

充とあずさが出会ったのは、2024年6月21日。偶然、コインランドリーで一緒になりました。

二人は、自分の人生に関係ない他人でした。嫌われてもいい人だからこそ、家族には言えない本音を話せたのだと思います。

「恋愛関係とは別の信頼関係」

充とあずさの関係は、そういうものだったのではないでしょうか。

その後、二人は毎月第3金曜日、洗濯と乾燥が終わるまで話すようになります。あずさは充と話しながら、最後には夫の樹生や息子の翔の話へ戻っていました。

充も、咲子と一緒にいたくないから、あずさに会っていたわけではありません。咲子と一緒にいるために、家族から少し離れて本音を話す時間が必要だった。

女性同士、男性同士なら、ただ話をする友達で済んだのかもしれません。でも男女だから疑われる。説明したことで今の関係を壊したくなかったため、お互いの家族には言えなかったのだと思います。

ただ、「自分の人生に関係ない他人」と言いながら、その時間は家族と暮らし続けるために必要だった。本当に人生に関係のない人だったのか。そこは気になります。

一日だけの失踪は、誰にも迷惑をかけない冒険

夕暮れの海を眺める一日だけの冒険の二人

事故の日、充は親に会いに行く途中で、一人で姿を消そうとしていました。そこへあずさが同行を申し出ます。

二人が考えていたのは、一日だけの失踪。夜にはそれぞれの家へ帰るつもりでした。

別にいいと思う。

誰かに迷惑をかけるわけでもないし、家族を捨てようとしたのでもない。日常から少しだけ外へ出る、ちょっとした冒険だったのだと思います。

月に一度話しているだけでも、人によっては「心の不倫」と疑う。だから二人は、少しだけ不倫まがいのことをしてみようとした。

「いっそ不倫されてた方がマシかも」

咲子の気持ちも分かります。恋愛ではないからこそ、充とあずさの強い信頼関係をどこに置けばいいのか分からない。名前をつけられない関係の方が、受け止めにくいのかもしれません。

今度は咲子が家を出た

家を出て歩く女性と玄関に残る男性

ラストで、今度は咲子が家を出ました。

わかる。

充を信じたいし、帰ってきてくれたことはうれしい。でも、説明を聞いたからといって、一年間傷ついた気持ちや、やるせない気持ちが消えるわけではありません。

ここにいたくない。その場から離れたい。

充は、自分が苦しくなると何度も黙っていなくなりました。それなのに、咲子が自分の意思で家を出ようとすると、受け止められない。

充が失踪したのに、咲子には失踪することを許せない。

その矛盾を咲子は隠せなかったのだと思います。

第8話で見たい、充と咲子の答え

充と咲子の答えを待つ二脚の椅子と二つのカップ

第8話で見たいのは、充と咲子の答えです。

充は、咲子にも「ここにいたくない」と思うときがあることを理解できるのでしょうか。咲子は家へ帰るのか。二人は、以前と同じに戻るのではなく、これからどう一緒にいるのか。

答えが出るかは分からないけど。

出典:TBS FREE『Tシャツが乾くまで』第7話「第三金曜日の出会い」

次回あらすじ:TBSテレビ『Tシャツが乾くまで』第8話

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